2012年5月2日水曜日

ほとんど土の人

4月初めから取り組んできた、古瓦利用の土留め工事は1か月たちようやく最後が見えてきた。まだ仕上げの土仕事が表面、および、周囲の立ち上り部分など残っているが、本体部分はほぼ完成である。

思いついた時は、そんなに長くかかるとは思わなかったが、取り掛かると来る日も来る日も瓦積みが続き、その後は壁土塗りが続いた。壁土もロケットオーブン用に仕込んだ分がなくなり、28日に山田へ行ったときにまた新たに仕込んで、それを使ってきた。それもわずかになり、再度もらいに行くようである。

壁土は、山田の山を崩した時に出た表土の少し下の粘土層の土と、購入した山砂を同量加え、量販店で買った苦土石灰(石灰にマグネシウムを加えたもの)20キロ300円弱のものを、土の5%程度を混ぜ合わせ使ってみた。水を僅か加えることで、そんなに練らなくても非常に粘りのある土にすぐ変わる。掌でしばらく団子にして練りこみそれを瓦と瓦の間に押し付け伸ばしてゆく。気持ちが良いくらい適当に柔らかく、よく延びる。彫塑の粘土により近い可塑性と崩れない結合性が得られる。


瓦をよく見ると「不動谷」という彫り込みがスタンプされている。これが地名だとすると、そこで焼かれた瓦なのではと推測できる。そこで市内の地名として調べると、大原大聖寺が「根方字不動谷」という地名になっている。その近くに瓦の窯があったのかどうか分からないが、誰かに聞いてみようと思う。

粘土は、乾くと縮まりひびが入ってくる。擁壁としての構造は、土嚢と、瓦のつなぎをしているモルタルで持たせているので、このひびは問題ない。土壁らしさの味として、ひびがあってもよいと思う。通常1週間で水分が抜けカチカチに固まる。色も、白っぽくなって、落ち着いてくる。


この2週間くらい、壁土と、ボーダー部の三和土(たたき)もどきを作るため、土、砂、砂利、石灰、切り藁、水をいろいろ配合し感じをつかんできた。三和土は原則水分は加えず、元の湿り気のまま敷き詰め、たたいて固めた方が良く固まり、作業性もよい。MAX古民家の土間も水を加えずやった方が良かったかもしれない。

土をいじくることで、先人の技術の高さと、「土の人」の面白さが分かってきた。今、そういう意味でほとんど土の人になっているようだ。階段横のスロープが完成すれば工事完了である。完成時の様子はまたアップしたいと思う。

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